2016年8月6日土曜日

「工学教育」掲載内容に関するお話

工学教育 vol.64, no.4に,本学の井藤良温准教授との共著論文,
「企業内新人教育プログラムを導入した初年次教育の試み」
が掲載されました.

本学の初年次教育科目の1つで,1年次の「修学形成1」という科目内に,私が前職の新人教育で経験したプログラムを一部変えて導入した実践報告になっています.

モノづくり技術者として鍛えていくのは,特に本学のような偏差値の低い学生が多い大学では,非常に難しい側面があります.

まず,物事に興味を持たない学生が多々見受けられる.そこそこ偏差値の高い大学の学生は,全部とは行かないでしょうけれども,モノづくりに興味がある,小さいころにモノをばらした経験がある,そうでなくても,マニュアルを読めばモノをちゃんと組み立てられる,という感じかと思います.

しかし,私の経験からすると,偏差値の低い学生は,なかなかそうはいかない.
ポテンシャル的に頭の出来云々ではなく,小さいころに自分の手を使ってモノを作った・組み立てたという経験がないし,そもそも,モノは使えれば良いじゃないか,わざわざ自分で組み立てる必要はない,誰かが組み立ててくれるからそれを使えば良いではないか,という感じです.

漠然と就職をしたいという気持ちはあるものの,さりとて,意欲も技術も高くない学生に,いきなりモノづくりを実践させるというのは無理な話なので,せめて1年次から, モノづくりに対する意欲を喚起させ,企業でモノづくりを行う基礎はどのようなことか,ということだけでも教えたいと思ったわけです.

そこで,前職の新入社員教育で行った,「レガシィを作ろう」という内容を,大学生向けにアレンジして,いわば,「企画」「設計」「プレゼン」の流れを簡単に理解してもらい,実践的な「開発」以外のモノを作るまでの過程を体験してもらう,という内容にし,科目に導入しました.

知識や技能が未熟だと思うので,実際に手を動かして作るのはまだ無理かも知れないけれども,モノ1つ作るにはどういうプロセスを経て行うのか,ということだけでも,体験する・しないでは,大きく差が出ると思われます.実際に手を動かすのはこれから経験を積めばいいだけですし.

この取り組みは,私が単独で試験的に始めた内容なのですが,幸いなことに,この取り組みが正式にシラバスに記載され,2015年度から正式に運用されています.この科目のおかげか否かは不明ですが,私のクラスの学生は結構モノづくりに対する熱意や意欲があるようにも思えます.

その他にも初年次教育関連で導入した内容がいくつかあるので,折を見て,論文化したいと思っています.

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