2016年12月12日月曜日

自動車部品工業会 シート部会 クッション性分科会の皆様が来学されました

12月9日(金)に,自動車部品工業会 シート部会 クッション性分科会の会員の皆様が,本学の私の研究室を訪問に来られました.

何でも,毎年,情報交換や知見獲得,勉強の目的で大学の研究室を訪問する勉強会と意見交換会をやっているとのことで,今年は会員の興味もあり,私の研究室を希望したとのこと.私の所に突然訪問希望のメールが来て,「何でうちが?」と思う位.寝耳に水の話でした.

まず,第一部として,私が講演.「自動運転時代に向けたヒューマンファクタ研究」と題して,セミナーで話している内容と,先日のSSI2016の内容を交えた話をしました.60分で終わる所が,かなりのボリュームでスライドを作った所為で,90分も喋ってしまいました.

次に第二部,本学ITS研究所を見学して頂き,自動運転シナリオの走行体験と,実際に走行している際の生体計測のデモ(今回は脳血流計測)を行いました.また,今までに何度も見て頂いている,ステアリング型の連続血圧計も体験頂きました.

本日,先方の会長から連絡を頂き,「久しぶりにアカデミックな講演が聴けた〜♪」と感謝を漏らす人も居るほどだったとのことでした.個人的にはまだまだアカデミックとは程遠いと思いますが,そう思って頂けたのは何よりです.

SSI2016の翌日ということもあり,突貫工事でしたが,何とか満足頂けて戻って頂けたかな.シート関係の方とは今まであまり交流が無かったのですが,こういう機会を機に交流の切っ掛けとなれば幸いです.

因みに写真は大学のHPに掲載された写真をそのまま持ってきています.
大学のHPの記事はコチラ→http://www.aut.ac.jp/news/univ_news/entry-1733.html

2016年12月9日金曜日

計測自動制御学会 システム・情報部門学術講演会2016で研究奨励賞を受賞しました

12月6日(火)〜8日(木)の期間,滋賀県のウカルちゃんアリーナ(滋賀県立体育館)で行われた,計測自動制御学会 システム・情報部門学術講演会2016(SSI2016)で発表しました.

今年のSSIでは,荒川研究室からB4の藤城孝彰君と,1年間私の研究室で趣味で研究をしてくれていた,電子制御・ロボット工学科の3年生,加賀翔大郎君が発表しました.

発表内容は次の2つでした.

・藤城孝彰, 荒川俊也: 自動運転に対する依存とシステム破綻時のヒューマンファクタ
・加賀翔大郎, 荒川俊也: シバヤギの発情行動推定手法の提案と発情検出システムの検討

2人とも発表は初めてでしたが,色々と練習した成果もあり,しっかりと対応できていました.研究については賛否両論で,かなり否定的なコメントもありましたが,どちらもまだまだこれからの研究なので,どんどん否定的な意見を頂き,改善していければと思います.

そして,2人の研究が,見事に研究奨励賞を受賞しました.
先の通り,まだまだこれからの研究ですが,割と変わったテーマ(と,私は思っている)だったこともあり,また,萌芽的な研究だったから受賞したのか,と,勝手に解釈しています.

藤城君はとにかく根気強く実験をやってくれました.n数はまだこれからですが,ひたすら長期間地道にやってくれました.
加賀君も毎日コツコツとプログラミングを習得し,ハードとソフト両方の知見を頑張って広げてくれました.

2人ともよく頑張りました.おめでとう.








2016年11月17日木曜日

中日新聞東三河版に研究成果が掲載されました

11月17日(木)の中日新聞東三河版に,株式会社ケーアンドエスとの共同研究成果が掲載されました.

非接触で連続的に血圧を計測できるシステムで,昨年掲載された,ステアリング装着型連続血圧計の発展形になります.
今回の開発品は超音波ドップラセンサを用いて脈波を捉え,脈波から血圧値に変換して算出する方式になります.
ステアリング装着型連続血圧計に比べてコスト的に有利であることと,インパネ内部に埋め込むことなどが可能なので,ドライバが運転中にセンサの存在を意識することがない,ということで,利便性が高いものと考えております.

まだシステムとしては不完全で,遅々として進んでいませんが,他の研究機関と協業して上手く開発が進められるようになれば,と考えています.

2016年11月10日木曜日

計測自動制御学会知能工学部会「第6回 賢さの先端研究会」で講演しました

10月28日に続いての講演です.神田の「フォーラムミカサ エコ」において,計測自動制御学会知能工学部会の「第6回 賢さの先端研究会」で講演しました.

10月28日はドライバセンシングの話をしましたが,ガラリと変わり,今回は,隠れマルコフモデルを用いたマウスとシバヤギの行動推定に関する研究の話です.

この話は私が博士号を取得するときのテーマなのですが,未だに少しずつ進めています.今は隠れマルコフモデルに拘ること無く,他の機械学習の手法も取り入れて評価している,という所です.

講演で色々な意見を頂きました.まだ理解不足な点もあるので,また勉強を進めて良い研究に展開できればと思います.



2016年10月28日金曜日

電気三学会関西支部専門講習会で講演しました

今年,とある技術セミナーの講師をやったご縁で,ある企業の方から今回の講演の依頼を受けました.
ということで,大阪市にある中央電気倶楽部で「人の内面状態理解のための生体情報センシング最新動向」という勉強会の中で,「ドライバモニタリング技術の研究開発動向と展望〜自動運転の時代に向けて〜」というタイトルで講演してきました.

今回の受講者は50名程度とのことで,学生含めた大学関係者の受講者が多かった様子です.

因みに私は電気三学会(電気学会,電子情報通信学会,映像情報メディア学会)の会員ではないので,ちょっと場違い感がありましたが,やはり,ちょっと場違いな発表だったかも知れません.話した内容はヒューマンファクタに関する話.しかし,他の先生方はハードに近い話が多かったので,あまり受けなかった感触です.

まあ,たまにはこういうこともあるかな.

久しぶりの出張で,ちょっとだけ息抜きができました.



2016年10月16日日曜日

電力供給の統計モデリングのお話(その2)

前回の続きです.

前回は,気象条件が異なる2009年と2010年について,2009年モデルによって2010年の最大電力供給も説明でき,また,2010年モデルによって2009年の最大電力供給も説明できるということを説明しました.

ちなみに関西電力については次の図のようになります.



結局,このことは何を説明しているかと言いますと,

2009年と2010年については気温の影響によらない共通の電力需給構造があり,2009年モデルや2010年モデルは,その構造を適切に捉えたものであると考えることができます.言い換えると,

2009年モデルや 2010年モデルはいわば震災前の電力需給構造を表したものである

と言うことができます.このことについては,AIC(赤池情報量規準)によっても説明できるのですが,この説明は後に回します.

次に,2011年のデータを,2009年モデルや2010年モデルに代入することを考えます.これはつまり,2009年(2010年)と同じような電力消費が行われた場合,2011年はどの位の電力供給となるか,という予測ができます.これと,実際の電力供給量を比較することで,何か見えてくるかも知れません.

そこで,代入した結果が次のグラフになります.上は東京電力について2009年モデルと2010年モデルで2011年の電力供給を予測したもの,下は関西電力についてのものです.



どちらも,赤い四角が45度線より下方にあることが見てとれると思います.

横軸は最大電力供給の予測値 ,縦軸は最大電力供給の実測値です.45度線に存在すれば,予測値=実測値,となります.とすると,45度線より下方にあるということは,予測値に比べて実測値の方が最大電力供給が少ない,ということを言っているに他なりません.

具体的には,東京電力では,推定値に比べると実測値の方が,2009年モデルを用いた推定では,2011年の最大電力供給量は679万kW少なく,2010年モデルを用いた推定では714万kW少なくなりました.関西電力では,2009年モデルを用いた推定では,2011年の最大電力供給量は174万kW少なく,2010年モデルを用いた推定では177万kW少なくなりました.

震災直後で,新電力や太陽光発電,自家発電の増強等が殆ど行われていないを考慮すると,これらの減少は,節電等による東京電力管内および関西電力管内における社会的電力需要の減少であると考えるのが妥当と言えるでしょう.具体的には,東京電力では15〜16%の電力供給に相当する節電,関西電力では7%の電力供給に相当する節電がなされたと考えられます.

東京電力の節電比率が関西電力のそれに比べて大きいのは,東京電力管内では法的強制力を持つ節電が行われたのに対し,関西電力管内では法的強制力を伴わないソフトな10%の節電要請に留まったため,と考えられます.

続きはその3で記載します.

2016年10月9日日曜日

電力供給の統計モデリングのお話(その1)

オペレーションズ・リサーチ学会機関紙 vol.61 no.10に,政策研究大学院大学の土谷隆先生(私の師匠の先生)との共著,
「最大電力供給の統計的解析と節電について−東日本大震災がもたらした構造変化−」 (pp.64-76)
が掲載されました.この研究は私のコアの研究のうちの1つで,博士号を取得した2012年から開始した研究です.

2年前に投稿したのですが,紆余曲折を経て,この度掲載されました.

今回はこの研究について少し説明したいと思います.ちょっと長くなるので数回に分けて載せます.

もともとの研究の切っ掛けはいうまでもなく2011年3月11日に発生した東日本大震災と福島第一原発の事故で,これらを切っ掛けに電力需給をめぐる情勢は大きく変化しました.今年の4月からは,電力小売り自由化が実現しています.この電力小売り自由化に伴って,電力需給を適切に解析して予測に繋げることも重要となっています.

また,昨今のエネルギー政策も相まって,電力需給に対する関心は高い印象を受けます.

ですが,電力需給の解析は,気温や,社会的状況など色々な要素が絡んでおり,簡単にできるものではない印象を受けます.とはいうものの,電力需給構造を解析することは今後の電力需給のあり方を議論する上では非常に重要です.

そこで,我々の研究では,最小二乗推定という簡単な統計モデリングの手法(ここがポイント)を用いて,電力需給構造を解析することを目指しました.データについても,誰でも入手できる,需給検証委員会のデータ,気象庁のデータ,Yahoo!天気のデータを用いることで,平易かつ透明性のある議論ができるようにしました.

対象としては2009年から2014年の東京電力および関西電力のデータです.これらは先に述べたように簡単にデータは手に入ります.

さて,最小二乗推定を行う場合,最大電力需給量を目的変数とするのは良いのですが,何を説明変数にするかがポイントになります.今回の論文では,「最低気温」「最高気温-最低気温」「最低電力供給」に着目しました.

気温については,「最低気温」「最高気温」「最高気温-最低気温」とした場合,このうち2変数を選んだ場合,それぞれ説明力は同等ですが,我々は,一日の最低電力供給を基準値として,一日の気温差が一定であれば大凡最低電力供給の差がそのまま反映されるというイメージでモデルを作成しました.また,気温差以外の不確定要素は最低電力供給に反映されていると考えています.

なお,モデルを作るに当たっては,7月10日〜8月31日の平日晴天時のデータを用いており,盆休を8月13日〜15日として,この期間を休日とみなして除いています.

上記のように各年ごとに得られた電力供給のモデルを,「2009年モデル」「2010年モデル」などと呼ぶことにし,ここでは,「2009年モデル」と「2010年モデル」について述べます.下の図は,2009年モデル(青三角)と2010年モデル(赤四角)による,最大電力供給の予測値(横軸)と実測値(縦軸)の関係を表しています.


  

2009年モデル,2010年モデルともに45°線上にほぼ乗っており,予測値と実測値に殆どズレがないことがわかります.

次に,2009年モデルで2010年の電力供給を予測した場合,および,2010年モデルで2009年の電力供給を予測した場合が下に図になります.プロットの見方は先程と同じです.下の図の上側は,2009年モデルで2010年の電力供給を予測した場合,下側は,2010年モデルで2009年の電力供給を予測した場合になります.


図を見ると,2009年モデルで2010年の最大電力供給が予測でき,また,2010年モデルで2009年の最大電力供給が予測できていることになります.(45°線にほぼ乗っていることからわかります)

実はこれは結構面白い話で,2009年は冷夏,2010年は酷暑と,非常に気候条件が異なっています.普通であれば,「冷夏である2009年モデル」で「酷暑の2010年の最大電力供給」を推定することは難しい印象です.ですが,この結果では,2009年モデルによって2010年の最大電力供給も説明でき,また,2010年モデルによって2009年の最大電力供給も説明できている,ということが説明できます.

続きはその2で記載します.

2016年10月5日水曜日

電気三学会関西支部講習会で講演します

10月28日(金)に,電気三学会(電気学会,電子情報通信学会,映像情報メディア学会)関西支部の講習会でお話させて頂きます.

「ドライバモニタリング技術の研究開発動向と展望〜自動運転の時代に向けて〜」という題目で,生体計測の話です.

私の他に,(株)ATRの正木信夫氏,横浜国立大学の杉本千佳先生,大阪府立大学の久本秀明先生,パナソニック(株)の酒井啓之氏がご講演されます.

詳細については下記URLをご参照下さい.
http://www.ieice.org/kansai/senmon/161028.html

2016年9月29日木曜日

荒川研究室第3期生が配属になります

学生を受け入れてから2年目が経過した荒川研究室です.

今日から荒川研究室第3期生が配属になります.何故このような時期かと言いますと,今年の3年生から「卒研セミナー」という,いわばプレ卒研的な位置付けの科目が新規開講になります.

そして,この「卒研セミナー」のメンバーは,そのまま4年次の卒業研究につながるため,「卒研セミナー」の受講者は荒川研究室に正式配属となるわけです.

来年度の卒業研究から,自動車整備士1級課程の学生受入が廃止になるため,基本的に1年次からそのまま上がってきた学生のみになります.

第3期生もなかなか優秀で,ユニークな学生が揃いました.

第3期生は,

稲垣彰一朗君,大森教平君,瀧谷悠君,婦木日向君,山﨑俊弥君,眞鍋泰一君,安井健人君

の7名となりました.

彼らには3年次には基本的に2人1組でプロジェクトを遂行してもらいます.(1テーマ1名の場合もあり)

そして,3年生に与えるテーマは,
「非接触センサを用いたアート作品の製作」「錯視アートの開発」「ユニークなデバイス開発」「低コスト義手・義足の開発」
を用意しました.私も勉強しながらのテーマです.どこまで頑張ってくれるか楽しみです.

引き続き,ご支援の程,宜しくお願い致します.

2016年9月19日月曜日

生体医工学シンポジウム2016で発表しました

前期最後の発表になるかと思います.旭川市の大雪クリスタルホールにて9月17日(土),18日(日)に開催された,生体医工学シンポジウム2016で発表しました.

荒川俊也: 視線挙動に基づく自動運転時のヒューマンファクタ

というタイトルで発表してきました.

大学に一度寄ってから金曜日に旭川に向かったのですが,セントレアからの飛行機は1日1便しか無く,しかも朝早い.とてもではないですが無理なので,一旦新幹線で羽田に出て,羽田空港から旭川空港に向かいました.

旭川市は肌寒いかと思ったのですが初日は意外と暑く,半袖で十分でした.これで問題無いな,と思ったら,17日の夕方から18日に掛けて肌寒くなりました.ジャケットを持って行って良かったです.

さて肝心の発表ですが,90分という時間でのポスター発表でしたが,色々な大学の先生が関心を持って見に来て下さいました.視線挙動で自動運転の依存傾向を検証するという内容だったのですが,他の手法で同様に依存傾向を検証している先生なども居られて,今後進めていく研究の参考になりました.

私の発表にしては珍しく(笑),大盛況でした.

今年12月に行われるSSI2016ではこの発展形の研究を発表する予定で,もうすぐ大規模な実験に取り掛かる予定です.が,進みの鍵を握っているのは研究室の学生.しっかりと頑張ってもらいましょうか.



2016年9月13日火曜日

国際会議ICISIP2016と産業応用工学会2016全国大会で発表しました

京都国際交流会館で開催された,The 4th IIAE International Conference on Intelligent Systems and Processing 2016(ICISIP2016)と,産業応用工学会2016全国大会で発表しました.主催が共に産業応用工学会なので,会場も会期も同じ,一粒で二度美味しい発表?です.

ICISIPでの発表内容は
Toshiya Arakawa: Consideration for Inhibiting Over-reliance of Autonomous Vehicle

産業応用工学会全国大会での発表内容は
荒川俊也,神永健多,榊原規彰,近藤針次: 容積脈波法によるステアリング型連続血圧計の開発と評価

という内容でした.

共に色々と質疑を頂き,非常に参考になったのですが, 産業応用工学会2016全国大会では,一昨年に続き,優秀論文発表賞を受賞しました.学生および企業さんとの共同研究の成果です.

引き続き,研究及び開発を一層推進させて行きます.

2016年9月8日木曜日

H28年度中間発表会を開催しました

荒川研究室のH28年度中間発表会を開催しました.本来は明日,他の研究室と合同で発表会を開催する予定だったのですが,本日夜から私が出張に出てしまうため,前倒して,本日開催となりました.

発表テーマは,

奥谷健「手元操作デバイスの操作性の定量化」
藤城孝彰「自動運転における慣れの危険性」
和泉匡則「次世代コクピットのバイワイヤ化による配置,形状の研究」
岩田和樹「低コストドライビングシミュレータの開発」

でした.

半年で進めた内容は高が知れており,大した内容ではなかったかも知れませんが,取り敢えずは無事に発表できました.
今年の学生はかなり頑張っている印象で,成績評価に影響しない中間発表であっても,大学に泊まりこみで資料を作るなどしていました.

今回指摘やコメントを頂いた内容を踏まえて,残り半年間,一生懸命に頑張って欲しいと思います.

そして後期からは3年生も受け入れることとなります.3年生は自動車とは関係の無いテーマを振る予定なので,こちらもどうなることか.期待半分不安半分,という所です.

引き続きご支援の程宜しくお願い致します.







2016年8月31日水曜日

技術セミナー「実務で使える統計解析手法と使い分けのポイント」で講師を務めました

毎度おなじみの講座です.今回は初めて関西方面での開催ということで,大阪のドーンセンターで開催しました.
今回の受講者は若干少なく8名でした.前回自動車技術会では40分の時間でしたが,今回は6時間.久々の長い時間の講演だったので,喉をやられました(笑)

やはり,食品会社などの方は統計に触れる機会が少なかったりするようで,本を読んでもなかなか理解できないという話でした.そういう方からするとセミナーで勉強する機会があるのは有り難いとか.

暫くはセミナーでの講演も少し回数が少なくなりますが,引き続き,積極的に進めて行きたいと思います.



2016年8月24日水曜日

自動車技術会講習会「自動車開発における人間工学の理論と実践」で講師を務めました

23日(火),名城大学天白キャンパスにおいて,自動車技術会の講習会が開催されました.
ドライバ評価手法検討部門委員会(2013年まで所属)とヒューマンファクター部門委員会(2013年から所属)企画の講習会で,「自動車開発における人間工学の理論と実践 - ドライバの特性を考えた車づくり -」という講習会です.
私はその中の1つ,「まずはこれを押さえよう!自動車人間工学における統計解析の基礎」という題目の講座を担当しました.

自動車技術会の講習会としては大盛況で,118人の参加者,満員御礼となりました.
確かに,今回講演されていた先生方は自動車人間工学分野の第一人者の方ばかりで,テキストがついて正会員16,200円とは滅茶苦茶に安いです.昨日会場から帰る際に,とある先生と,「今回の講座,価格破壊ですよね〜」なんてことを言いながら帰りました.

私はいつもはセミナー会社の技術セミナーで喋っていますが,学会の講習会で喋るのは今回が初めて.非常に光栄でした.

肝心の私の講座は,と言うと,やはり時間が短い中でてんこ盛りにし過ぎたせいか,「脳内シミュレーション」 のようには上手く喋れなかったせいか(両方かと思いますが),かなりバタバタして消化不良気味.個人的には回帰分析は重要だと思っているので,回帰分析の話だけに特化するなどしてもよかったかも知れません.

また機会を頂けたら是非お話させて頂ければ幸いです.



2016年8月6日土曜日

「工学教育」掲載内容に関するお話

工学教育 vol.64, no.4に,本学の井藤良温准教授との共著論文,
「企業内新人教育プログラムを導入した初年次教育の試み」
が掲載されました.

本学の初年次教育科目の1つで,1年次の「修学形成1」という科目内に,私が前職の新人教育で経験したプログラムを一部変えて導入した実践報告になっています.

モノづくり技術者として鍛えていくのは,特に本学のような偏差値の低い学生が多い大学では,非常に難しい側面があります.

まず,物事に興味を持たない学生が多々見受けられる.そこそこ偏差値の高い大学の学生は,全部とは行かないでしょうけれども,モノづくりに興味がある,小さいころにモノをばらした経験がある,そうでなくても,マニュアルを読めばモノをちゃんと組み立てられる,という感じかと思います.

しかし,私の経験からすると,偏差値の低い学生は,なかなかそうはいかない.
ポテンシャル的に頭の出来云々ではなく,小さいころに自分の手を使ってモノを作った・組み立てたという経験がないし,そもそも,モノは使えれば良いじゃないか,わざわざ自分で組み立てる必要はない,誰かが組み立ててくれるからそれを使えば良いではないか,という感じです.

漠然と就職をしたいという気持ちはあるものの,さりとて,意欲も技術も高くない学生に,いきなりモノづくりを実践させるというのは無理な話なので,せめて1年次から, モノづくりに対する意欲を喚起させ,企業でモノづくりを行う基礎はどのようなことか,ということだけでも教えたいと思ったわけです.

そこで,前職の新入社員教育で行った,「レガシィを作ろう」という内容を,大学生向けにアレンジして,いわば,「企画」「設計」「プレゼン」の流れを簡単に理解してもらい,実践的な「開発」以外のモノを作るまでの過程を体験してもらう,という内容にし,科目に導入しました.

知識や技能が未熟だと思うので,実際に手を動かして作るのはまだ無理かも知れないけれども,モノ1つ作るにはどういうプロセスを経て行うのか,ということだけでも,体験する・しないでは,大きく差が出ると思われます.実際に手を動かすのはこれから経験を積めばいいだけですし.

この取り組みは,私が単独で試験的に始めた内容なのですが,幸いなことに,この取り組みが正式にシラバスに記載され,2015年度から正式に運用されています.この科目のおかげか否かは不明ですが,私のクラスの学生は結構モノづくりに対する熱意や意欲があるようにも思えます.

その他にも初年次教育関連で導入した内容がいくつかあるので,折を見て,論文化したいと思っています.

2016年7月30日土曜日

講習会「主成分分析と因子分析の解析手順・使い分けと勘所」を開催しました

株式会社テックデザイン様の講習会で講師を務めました.
昨年9月に実施した同内容の講習会の再演です.Rを使った実習形式の講習会で,今回は食品,飲料,化粧品メーカーなどの方が多かったです.

今回の参加者は16名で,会場の関係もあり16名集まった時点で募集打ち切りとなりました.初めての満員御礼でした.

今日,アンケート結果を頂きましたが,非常に好評でした.Rを使ってデータ解析することについてハードルを高く感じなくなった,とか,自分で色々とやってみようという気になった,という声が多くありました.

私の講座は基本的にはわざと上っ面な所をなぞるような内容にしています.大体,技術セミナーや講習会に来られる方は,初めの取っ掛かりの所で一歩を踏み出せない方が多い傾向にあります.そのため,上っ面な所でも良いので,敷居が高いものではない,ということを認識して頂くことが重要だと捉えています.

ですので,私の講座は,数式が少ない(笑)でも,それで良いと思っています.まずは馴染んで頂く,取り敢えずやってみて,数式などは後追いで考えてみる,で,良いと思います.(特に実践的に使われる企業技術者の方は.)

統計講座のニーズはどんどんと増している印象があります.一応は統計数理研究所に居た身としては,このニーズの増加,嬉しさを感じます.

2016年7月26日火曜日

技術セミナー「自動車の安心・安全と自動化を支えるドライバーモニタリングシステムの動向・課題と今後の展望」で講師を務めました

サイエンス&テクノロジー株式会社様の技術セミナー「自動車の安心・安全と自動化を支えるドライバーモニタリングシステムの動向・課題と今後の展望」で講師を務めました.

私は第1部の講師で,「自動車技術の進展におけるドライバーモニタリングの役割と位置付け及びその技術動向」という題目でお話を致しました.

前4部構成で,私以外の講師の先生は,中部大学の野田明子教授,株式会社デンソーの大見拓寛氏,愛知県立大学の小栗宏次教授の3名でした.

どちらかというと私の話は後の先生に続く全体展望的な話にしたのですが,意外と,エンジニアの方は,コアな話ではなく,割と広く浅くな話を求めている傾向にあるようで,事後アンケートでは概ねご満足頂けた印象でした.

今回のセミナーは急遽受講者数が増加し,余りの増加だったために会場が急遽変更となりました.最終的には50名近くが受講されたようで,この分野の関心の高さが伺えます.

今週はもう1つ,金曜日にRを用いた主成分分析と因子分析の実習のセミナー講師のお仕事があります.久々の統計関連のセミナーです.

こちらも現状満員御礼に近い状態らしいとのこと.有難い限りです.

本学では全く専門とは関係の無い授業を担当している中,セミナーでは専門のことを色々と喋っている,どっちが本職なんだ,という感じもしてしまいますが,技術者指導も大学の人間(特に企業の技術者上がりの人間)としては重要と捉えていますので,どちらも手を抜かずに進めて行きたいと思います.


2016年7月23日土曜日

ポケモンGOブーム

昨日,日本国内でも,Android用,iOS用に,「ポケモンGO」がリリースされました.

「ポケモンGO」とは,「位置情報を利用することにより,現実世界そのものを舞台として,ポケモンを捕まえたり,交換したり,バトルしたりすることができる」ゲームで(公式サイトから引用),INGRESSのNiantic社が開発,任天堂がパートナーとして加わっています.

昨日,1時限目の授業を終えて,研究室に戻ろうとしたら,廊下で学生が携帯を覗きながら何かやっている.何だろうと思って話を聞いてみたら「ポケモンGO」だったのです.

そして私の研究室の学生もぞろぞろと歩きまわっており,話を聞いたら学内のポケモンを探しに向かうとのこと.

驚いたのはその後でした.建物に入ってきた学生が殆ど全員ポケモンGOをやっており,大学から駅に向かうバスの中でも学生が皆ポケモンGOをやっている始末.

さらに,今,出張で東京に来ているのですが,電車の中でもポケモンGOをやっている人が多かったのです.

流石にこのブーム,ちょっと驚いています.

で,私もミーハーなので(笑)ダウンロードして少しやってみました.

勝手な感想を言うとすれば,ポケモンを集めるというコレクターズ魂を揺さぶる作り,少し前に流行った「コロニーな生活」や「ケータイ国盗り合戦」のようなスタンプラリーの楽しさ,集めたポケモンでバトルをする楽しさが全部合わさっていることがブームの要因なのかな…と感じています.それから,連日のマスコミの煽りもあるでしょう.

このブーム,いつ頃まで続くのでしょうか.非常に見ものです.

教える側からすると,学生への影響が少なからずありそうなので(ポケモン探しに行って授業に出ない,など),なるべく早めに収束して欲しいのですが.

2016年7月20日水曜日

技術セミナー「生体計測の基礎と測定・解析ノウハウ」で講師を務めました

1ヶ月振りの技術セミナー講師です.

技術情報協会様主催のセミナーで講師を務めました.これまではオムニバス形式の講義だったのですが,今回は私単独での担当となりました.

今回は6名の方が受講されましたが,比較的若い方が多かった印象で,色々とテクニカルな質問が多かった印象です.

また,今回は少し資料をアップデートし,筋電計測などの話も追加致しました.少しずつ新しい話も盛り込んで行ければと思います.

次は来週月曜日にセミナー講師を務めます.


2016年7月4日月曜日

パーティクルフィルタ研究会で発表しました

6月30日(木)に東北大学で行われた「パーティクルフィルタ研究会」で発表しました.

「隠れマルコフモデルによるマウス社会行動推定手法とフリーソフト"DuoMouse"の開発」
◯荒川俊也(愛知工科大学),田邉彰(国立遺伝学研究所),高橋阿貴(筑波大学),柿原聡(前:政策研究大学院大学),小出剛(国立遺伝学研究所),土谷隆(政策研究大学院大学)

講演概要
センシング技術およびICTの発達により,動物行動に携わる研究者は膨大な量のデータを収集することが可能となった.従来の観察に基づく動物行動の評価の代替として期待されているが,その一方で,膨大なデータを効率的に処理するための手法が求められている.センサにより得られた膨大な動物行動データの活用・処理手法の一つとして,隠れマルコフモデルを用いたマウスの社会行動の自動推定の試みについて紹介する.また,推定アルゴリズムを実装して開発したフリーソフト"DuoMouse"についても紹介する.

開発ソフトについてのコメントが非常に多かったです.
このソフトは私ではなく,共同研究者の当時学生さんが非常に頑張って作ってくれたもので,とても内製とは思えない出来です.やはり,ソフト開発も,餅は餅屋,ですね.

研究会後は懇親会にも参加しました.

パーティクルフィルタ研究会は今年2月から参加しているのですが,少しずつ,パーティクルフィルタの適用可能性について検討を進めて行きたいと思います.


2016年6月12日日曜日

自動車技術会中部支部2016年度支部通常総会併催研究発表会で発表しました

6月9日に,大分久しぶりに(10年振り…),自動車技術会で発表しました.
今回は名古屋国際会議場で行われた,中部支部の2016年度支部通常総会併催の研究発表会での発表です.

荒川俊也:自動運転への依存に関する実験的考察 - ヒューマンファクタの観点から -

国内の研究会等で,このテーマで話をするのは初めてです.
まだまだこれからの研究なのですが(突っ込みどころが多い) ,取り敢えず,情報提供,
ということで…

今,学生に,昨年の実験の修正など,色々とやってもらっており,来月辺りには実験できると思います.
今度はもうちょっと良いデータが取れるかと思います…



2016年6月7日火曜日

技術セミナー「『生体計測の技術動向と応用事例』 ~測定・解析のポイントと計測データの活用方法~」で講師を務めました

株式会社情報機構様の技術セミナー,「『生体計測の技術動向と応用事例』 ~測定・解析のポイントと計測データの活用方法~」で講師を務めました.

昨年,同内容のセミナーを行いましたが,再演です.好評だったのでしょうか.

今回は6名の方にご参加頂きました.

前日,あまり熟睡できていなかったこともあり,喋りながら頭がクラクラする始末でしたが(笑),
滞りなく終了しました.
色々なご質問も頂き,議論もできたかと思います.




2016年5月27日金曜日

Measuring Behavior 2016で発表しました

現在,アイルランドは,5月26日(木)21:00です.

本日,Measuring Behavior 2016で発表しました.

Verification of Autonomous Vehicle Over-reliance
Toshiya Arakawa(Aichi Univ. of Technology), Kunihiko Oi(Toyohashi Sekkei Co., Ltd.)

昨年度の卒研生と進めた研究について,初めて海外で発表しました.
不十分な内容ですが,自動運転のヒューマンファクタも考える必要がある,
ということを提案したく,発表することとしました.

思ったより好評で,色々なコメントを頂きました.

発表の後,Noldusというメーカーの技術者の方から,wearable deviceの将来性について,
議論をしたいというe-mailを随分前に受け取っていたので,会って,色々と議論してきました.

今回の学会は色々な人の出会いがあり,大きな収穫があったと思います.
そして,私の英語は相変わらず滅茶苦茶なこと.
しかし,臆さないで,何とか自分の言いたいことを伝えよう,と,思って,実行に移すと,
何とかなるものだと痛感した次第です.

学生諸君,海外に行けるならどんどん行って,日本との雰囲気の違いをしっかり学ぶ機会を得た方がいいですよ.