2016年12月12日月曜日

自動車部品工業会 シート部会 クッション性分科会の皆様が来学されました

12月9日(金)に,自動車部品工業会 シート部会 クッション性分科会の会員の皆様が,本学の私の研究室を訪問に来られました.

何でも,毎年,情報交換や知見獲得,勉強の目的で大学の研究室を訪問する勉強会と意見交換会をやっているとのことで,今年は会員の興味もあり,私の研究室を希望したとのこと.私の所に突然訪問希望のメールが来て,「何でうちが?」と思う位.寝耳に水の話でした.

まず,第一部として,私が講演.「自動運転時代に向けたヒューマンファクタ研究」と題して,セミナーで話している内容と,先日のSSI2016の内容を交えた話をしました.60分で終わる所が,かなりのボリュームでスライドを作った所為で,90分も喋ってしまいました.

次に第二部,本学ITS研究所を見学して頂き,自動運転シナリオの走行体験と,実際に走行している際の生体計測のデモ(今回は脳血流計測)を行いました.また,今までに何度も見て頂いている,ステアリング型の連続血圧計も体験頂きました.

本日,先方の会長から連絡を頂き,「久しぶりにアカデミックな講演が聴けた〜♪」と感謝を漏らす人も居るほどだったとのことでした.個人的にはまだまだアカデミックとは程遠いと思いますが,そう思って頂けたのは何よりです.

SSI2016の翌日ということもあり,突貫工事でしたが,何とか満足頂けて戻って頂けたかな.シート関係の方とは今まであまり交流が無かったのですが,こういう機会を機に交流の切っ掛けとなれば幸いです.

因みに写真は大学のHPに掲載された写真をそのまま持ってきています.
大学のHPの記事はコチラ→http://www.aut.ac.jp/news/univ_news/entry-1733.html

2016年12月9日金曜日

計測自動制御学会 システム・情報部門学術講演会2016で研究奨励賞を受賞しました

12月6日(火)〜8日(木)の期間,滋賀県のウカルちゃんアリーナ(滋賀県立体育館)で行われた,計測自動制御学会 システム・情報部門学術講演会2016(SSI2016)で発表しました.

今年のSSIでは,荒川研究室からB4の藤城孝彰君と,1年間私の研究室で趣味で研究をしてくれていた,電子制御・ロボット工学科の3年生,加賀翔大郎君が発表しました.

発表内容は次の2つでした.

・藤城孝彰, 荒川俊也: 自動運転に対する依存とシステム破綻時のヒューマンファクタ
・加賀翔大郎, 荒川俊也: シバヤギの発情行動推定手法の提案と発情検出システムの検討

2人とも発表は初めてでしたが,色々と練習した成果もあり,しっかりと対応できていました.研究については賛否両論で,かなり否定的なコメントもありましたが,どちらもまだまだこれからの研究なので,どんどん否定的な意見を頂き,改善していければと思います.

そして,2人の研究が,見事に研究奨励賞を受賞しました.
先の通り,まだまだこれからの研究ですが,割と変わったテーマ(と,私は思っている)だったこともあり,また,萌芽的な研究だったから受賞したのか,と,勝手に解釈しています.

藤城君はとにかく根気強く実験をやってくれました.n数はまだこれからですが,ひたすら長期間地道にやってくれました.
加賀君も毎日コツコツとプログラミングを習得し,ハードとソフト両方の知見を頑張って広げてくれました.

2人ともよく頑張りました.おめでとう.








2016年11月17日木曜日

中日新聞東三河版に研究成果が掲載されました

11月17日(木)の中日新聞東三河版に,株式会社ケーアンドエスとの共同研究成果が掲載されました.

非接触で連続的に血圧を計測できるシステムで,昨年掲載された,ステアリング装着型連続血圧計の発展形になります.
今回の開発品は超音波ドップラセンサを用いて脈波を捉え,脈波から血圧値に変換して算出する方式になります.
ステアリング装着型連続血圧計に比べてコスト的に有利であることと,インパネ内部に埋め込むことなどが可能なので,ドライバが運転中にセンサの存在を意識することがない,ということで,利便性が高いものと考えております.

まだシステムとしては不完全で,遅々として進んでいませんが,他の研究機関と協業して上手く開発が進められるようになれば,と考えています.

2016年11月10日木曜日

計測自動制御学会知能工学部会「第6回 賢さの先端研究会」で講演しました

10月28日に続いての講演です.神田の「フォーラムミカサ エコ」において,計測自動制御学会知能工学部会の「第6回 賢さの先端研究会」で講演しました.

10月28日はドライバセンシングの話をしましたが,ガラリと変わり,今回は,隠れマルコフモデルを用いたマウスとシバヤギの行動推定に関する研究の話です.

この話は私が博士号を取得するときのテーマなのですが,未だに少しずつ進めています.今は隠れマルコフモデルに拘ること無く,他の機械学習の手法も取り入れて評価している,という所です.

講演で色々な意見を頂きました.まだ理解不足な点もあるので,また勉強を進めて良い研究に展開できればと思います.



2016年10月28日金曜日

電気三学会関西支部専門講習会で講演しました

今年,とある技術セミナーの講師をやったご縁で,ある企業の方から今回の講演の依頼を受けました.
ということで,大阪市にある中央電気倶楽部で「人の内面状態理解のための生体情報センシング最新動向」という勉強会の中で,「ドライバモニタリング技術の研究開発動向と展望〜自動運転の時代に向けて〜」というタイトルで講演してきました.

今回の受講者は50名程度とのことで,学生含めた大学関係者の受講者が多かった様子です.

因みに私は電気三学会(電気学会,電子情報通信学会,映像情報メディア学会)の会員ではないので,ちょっと場違い感がありましたが,やはり,ちょっと場違いな発表だったかも知れません.話した内容はヒューマンファクタに関する話.しかし,他の先生方はハードに近い話が多かったので,あまり受けなかった感触です.

まあ,たまにはこういうこともあるかな.

久しぶりの出張で,ちょっとだけ息抜きができました.



2016年10月16日日曜日

電力供給の統計モデリングのお話(その2)

前回の続きです.

前回は,気象条件が異なる2009年と2010年について,2009年モデルによって2010年の最大電力供給も説明でき,また,2010年モデルによって2009年の最大電力供給も説明できるということを説明しました.

ちなみに関西電力については次の図のようになります.



結局,このことは何を説明しているかと言いますと,

2009年と2010年については気温の影響によらない共通の電力需給構造があり,2009年モデルや2010年モデルは,その構造を適切に捉えたものであると考えることができます.言い換えると,

2009年モデルや 2010年モデルはいわば震災前の電力需給構造を表したものである

と言うことができます.このことについては,AIC(赤池情報量規準)によっても説明できるのですが,この説明は後に回します.

次に,2011年のデータを,2009年モデルや2010年モデルに代入することを考えます.これはつまり,2009年(2010年)と同じような電力消費が行われた場合,2011年はどの位の電力供給となるか,という予測ができます.これと,実際の電力供給量を比較することで,何か見えてくるかも知れません.

そこで,代入した結果が次のグラフになります.上は東京電力について2009年モデルと2010年モデルで2011年の電力供給を予測したもの,下は関西電力についてのものです.



どちらも,赤い四角が45度線より下方にあることが見てとれると思います.

横軸は最大電力供給の予測値 ,縦軸は最大電力供給の実測値です.45度線に存在すれば,予測値=実測値,となります.とすると,45度線より下方にあるということは,予測値に比べて実測値の方が最大電力供給が少ない,ということを言っているに他なりません.

具体的には,東京電力では,推定値に比べると実測値の方が,2009年モデルを用いた推定では,2011年の最大電力供給量は679万kW少なく,2010年モデルを用いた推定では714万kW少なくなりました.関西電力では,2009年モデルを用いた推定では,2011年の最大電力供給量は174万kW少なく,2010年モデルを用いた推定では177万kW少なくなりました.

震災直後で,新電力や太陽光発電,自家発電の増強等が殆ど行われていないを考慮すると,これらの減少は,節電等による東京電力管内および関西電力管内における社会的電力需要の減少であると考えるのが妥当と言えるでしょう.具体的には,東京電力では15〜16%の電力供給に相当する節電,関西電力では7%の電力供給に相当する節電がなされたと考えられます.

東京電力の節電比率が関西電力のそれに比べて大きいのは,東京電力管内では法的強制力を持つ節電が行われたのに対し,関西電力管内では法的強制力を伴わないソフトな10%の節電要請に留まったため,と考えられます.

続きはその3で記載します.

2016年10月9日日曜日

電力供給の統計モデリングのお話(その1)

オペレーションズ・リサーチ学会機関紙 vol.61 no.10に,政策研究大学院大学の土谷隆先生(私の師匠の先生)との共著,
「最大電力供給の統計的解析と節電について−東日本大震災がもたらした構造変化−」 (pp.64-76)
が掲載されました.この研究は私のコアの研究のうちの1つで,博士号を取得した2012年から開始した研究です.

2年前に投稿したのですが,紆余曲折を経て,この度掲載されました.

今回はこの研究について少し説明したいと思います.ちょっと長くなるので数回に分けて載せます.

もともとの研究の切っ掛けはいうまでもなく2011年3月11日に発生した東日本大震災と福島第一原発の事故で,これらを切っ掛けに電力需給をめぐる情勢は大きく変化しました.今年の4月からは,電力小売り自由化が実現しています.この電力小売り自由化に伴って,電力需給を適切に解析して予測に繋げることも重要となっています.

また,昨今のエネルギー政策も相まって,電力需給に対する関心は高い印象を受けます.

ですが,電力需給の解析は,気温や,社会的状況など色々な要素が絡んでおり,簡単にできるものではない印象を受けます.とはいうものの,電力需給構造を解析することは今後の電力需給のあり方を議論する上では非常に重要です.

そこで,我々の研究では,最小二乗推定という簡単な統計モデリングの手法(ここがポイント)を用いて,電力需給構造を解析することを目指しました.データについても,誰でも入手できる,需給検証委員会のデータ,気象庁のデータ,Yahoo!天気のデータを用いることで,平易かつ透明性のある議論ができるようにしました.

対象としては2009年から2014年の東京電力および関西電力のデータです.これらは先に述べたように簡単にデータは手に入ります.

さて,最小二乗推定を行う場合,最大電力需給量を目的変数とするのは良いのですが,何を説明変数にするかがポイントになります.今回の論文では,「最低気温」「最高気温-最低気温」「最低電力供給」に着目しました.

気温については,「最低気温」「最高気温」「最高気温-最低気温」とした場合,このうち2変数を選んだ場合,それぞれ説明力は同等ですが,我々は,一日の最低電力供給を基準値として,一日の気温差が一定であれば大凡最低電力供給の差がそのまま反映されるというイメージでモデルを作成しました.また,気温差以外の不確定要素は最低電力供給に反映されていると考えています.

なお,モデルを作るに当たっては,7月10日〜8月31日の平日晴天時のデータを用いており,盆休を8月13日〜15日として,この期間を休日とみなして除いています.

上記のように各年ごとに得られた電力供給のモデルを,「2009年モデル」「2010年モデル」などと呼ぶことにし,ここでは,「2009年モデル」と「2010年モデル」について述べます.下の図は,2009年モデル(青三角)と2010年モデル(赤四角)による,最大電力供給の予測値(横軸)と実測値(縦軸)の関係を表しています.


  

2009年モデル,2010年モデルともに45°線上にほぼ乗っており,予測値と実測値に殆どズレがないことがわかります.

次に,2009年モデルで2010年の電力供給を予測した場合,および,2010年モデルで2009年の電力供給を予測した場合が下に図になります.プロットの見方は先程と同じです.下の図の上側は,2009年モデルで2010年の電力供給を予測した場合,下側は,2010年モデルで2009年の電力供給を予測した場合になります.


図を見ると,2009年モデルで2010年の最大電力供給が予測でき,また,2010年モデルで2009年の最大電力供給が予測できていることになります.(45°線にほぼ乗っていることからわかります)

実はこれは結構面白い話で,2009年は冷夏,2010年は酷暑と,非常に気候条件が異なっています.普通であれば,「冷夏である2009年モデル」で「酷暑の2010年の最大電力供給」を推定することは難しい印象です.ですが,この結果では,2009年モデルによって2010年の最大電力供給も説明でき,また,2010年モデルによって2009年の最大電力供給も説明できている,ということが説明できます.

続きはその2で記載します.